2020年5月。「コロナ問題」は、社会のみならず地球全体に影響を及ぼしている。そして現在(2020 /5/5)首都圏を中心に緊急事態宣言は今も続いている。これまでの観光の危機、湾岸戦争・狂牛病問題・SARS・NYテロ・東日本大震災などと比較しても今回の産業への経済的なダメージはより深刻である。これまでの「観光を阻害する要因は限定的な地域で起こっていた」しかし、今回は、ドミノ倒しのように世界中に蔓延した。特に海外を扱う旅行会社などは、他のエリアへの商品転嫁など対策を立てる時間もなかった。さらに海外の外務省の危険度の引き上げに伴う航空機の減便など事実上の移動も遮断された、国内旅行も政府による移動自粛など影響を受けている。今、旅行ビジネス全体が厳し状況にある。そして旅行を受け入れる地域も同じく深刻である。社会生活においても外出の規制など生活に関わること以外の活動がほぼ失われている状況下である、今回はコロナ終息後の観光について考えてみたい。 今日の日本は、いつの頃か観光やレジャーは毎月の家計から一定の金額を支出されるようになった。少なくても30年前の一般家庭は年に1回あるかないかの旅行、数えられる程度のレストランでの外食、旅行や外食は非日常的時間であった。しかしいつの間にかその行為は生活の延長線、日常に組み込まれていった。その需要の拡大により観光やサービス業は増加していった。 今回、どのような形でコロナ問題がピークアウトするかはわからないが、サービス産業の自粛はどこかのタイミングでクリアとなり観光が再開し重要がある程度戻ることが予測される。しかし、旅行回数の減少は起こるであろう。 旅行年鑑2019(公益財団法人日本交通公社)によると2018年の日本人の旅行平均回数は、国内宿泊旅行全体では2.30回/人、国内日帰り旅行全体では2.14回/人、海外旅行全体では0.15回/人。リーマン・ショックの時、日本経済は2008年と2009年の2年間で国内総生産が7.6%減、今回はそれ以上の損失との見方もある。旅行の場合の落ち込みは仮にこれまで年に2回旅行に出かけていた旅行は1回になることが起こる、暮らしの中の節約的経済損失とは少し異なる。2回目に選ばれなかった地域は大幅な収入減となりコロナ問題終息後も低迷は続き廃業に舵をきってしまうケースも考えられる。今回の問題は観光を振興する地域の格差をこれまで以上に生みだすだろう。特に温泉街は勝ち組と負け組がはっきりするのではないか、これまでも厳しい温泉街はおおくさらなる需要の減少は旅館のサービス低下や廃業が加速し、温泉街全体のイメージにも影響がでるそして産業の衰退は人口減少に拍車をかけるだろう。観光客が訪れる道の駅なども同様の問題が起きる可能性が高い。コロナ後で最も経済が疲弊するのは都市部から離れた立地で観光地としての準ブランドを獲得していた地域や観光がメインではが、ある程度の観光客が訪れていた地域に影響がでるのではないか。そのようにならないためには、今こそ行政や観光協会、商工会議所など地域の街づくりを担う公的機関の行動的戦略がより求められている。選ばれる観光地になる地域戦略である。 また、これまで観光に消極的だった地域や観光の議論が後回しになっていた地域においてもサービス業全体が窮地の状況下の今こそ一丸となり「地域で観光」を盛り上げるきっかけを生み出すこともできる。そして「DMO」組織は、既に活動の基盤が整備できている、多様な関係者がTV会議などリモート機能を使い議論を深めるチャンスでもある。 いずれにしても、今後の地域間競争いおいて、活動的な戦略が求められている。
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