キーワード:社会、環境、政策、文化

ナマクワランド。アフリカ最南端喜望峰より北に700km、大西洋から約100km内陸部に位置する。そこは、カラハリ砂漠の南、半砂漠地帯の殺伐とした色のない大地だ。 南アフリカの歴史、それは1488年大航海時代の最盛期、ポルトガルのバルトロメウ=デイアスが喜望峰を発見、翌年には、ヴアスコ・ダ・ガマがこの岬を通過しインド航路を築いたことが知られている。

その後、オランダ系白人(ボーア人)が入植し、1800年代初頭にはイギリス入植者がボーア人を圧迫、争いに負けたボーア人は北方に新天地を求め移住を続けた、“グレートトレック”と呼ばれる民族大移動である。彼らが及んだ土地は先地民との争いの末、農耕文化が築かれた。

ナマクワランド、ナマ=無、ランド=土地という意味で年間降水量はごく僅か殺伐とした大地が広がる。7月下旬。大西洋岸からの僅か湿った風が極度に乾燥するナマクワランドの地に恵みの雨をもたらし、ナマクワランドデイジーと呼ばれる花々が果てしなくオレンジカラーに染める。
ー世界最大級のお花畑が突如現れる。その期間は僅か3週間―

 

大地は、欧米が創ったアフリカの歴史ではない、狩猟の民サン族(ブッシュマン系)が刻んだ歴史である。それは、定住文化でない狩猟の民が農耕(定住の手段)のために大地が掘り起こさなかったから、眺めることができる奇跡の光景でもある。
狩猟の民、真の意味で自然環境に適応し、地球の時間軸を守り、営みを続ける、サスティナブル(持続可能)な環境と生き方を実践している。

今日、世界中から、世界最大級の自然が創りあげたお花畑を目指して世界中から多くの観光客が訪れる。観光と環境が共存している光景、それがナマクワランドが創りあげたサスティナブルツーリズムである。

 

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